看板の法令耐用年数とは?看板の種類ごとに解説!
お店や会社の宣伝をするのに役立つ看板。そんな看板には、種類ごとに法令耐用年数が定められていることをご存知でしょうか。看板は月日を経るごとに価値が下がっていくものであり、看板ごとの耐用年数を知っておくと後の広告宣伝費や費用の計上にも役立つのです。ここでは看板の法令耐用年数についてくわしく解説します。
法令耐用年数は看板の寿命ではない?
看板の法令耐用年数というのは、企業で決算をする際、看板の費用を計上するために定められた看板の寿命の長さのことを指します。ここで注意すべきは、法令耐用年数はあくまで計上をしやすくするために便宜上定められたものであり、看板の寿命そのものではないということです。
法令耐用年数が3年の看板は、3年経ったからといって壊れて使えなくなるというわけではないのです。むしろメンテナンスをしたり、雨風などの負担を避ける環境に置いたりすれば、その看板は法令耐用年数を超えてさらに高いコストパフォーマンスを発揮するかもしれません。
多くの看板は経年劣化し、資産としての価値はやがて0になりますが、価値がいつ0になるのかというのは厳密に計ることはできません。そこで、決算を行う際に1つの目安として法令耐用年数が用いられるのです。
減価償却で赤字を避けられる!
そもそも資産の法令耐用年数は、その資産を減価償却で計上するために定められたものであるといえます。それでは減価償却とはいったい何なのか、ここで詳しく見てみましょう。
減価償却とは
減価償却とは、資産の購入金額を資産の法令耐用年数で割って経費として計上する仕組みです。減価償却には決まった額を計上する定額法と、残る資産価値に対し一定の割合額を計上する定率法の2種類がありますが、ここでは定額法を例にして考えてみましょう。
たとえば法令耐用年数が5年の看板を1,000万円で購入した場合、1,000万円を5年で割った200万円が毎年の経費として計上されます。つまり看板を購入した年でも、その看板に使った費用はわずか200万となるので、赤字決算になることを避けやすくなるのです。
もし看板が減価償却で計上できない場合は、購入年の経費を1,000万円としてまとめて計上しなければならないので、決算の数字に大きく影響することになります。
減価償却の注意点
減価償却は赤字を避けるためにとても効果的な仕組みですが、デメリットもあります。先述の例でいえば、看板の購入年の経費はわずか200万円で計算されますが、実際に支払っているのは1,000万円です。
つまり支払った額と経費として計上した額にズレが生じるので、決算上は黒字でも手元の資金は足りなくなる、といった事態になりかねません。減価償却を使う場合は、手元の資金に余裕を持ち、実際に支払っている金額を忘れないようにする必要があります。
看板の耐用年数を種類ごとに解説!
最後に、看板の耐用年数を種類ごとにまとめてご紹介します。ここで紹介するのはあくまで1つの目安であり、看板の耐久性や設置場所の環境により耐用年数は大きく変わることを念頭に置きながら、ぜひ参考にしてみてください。
屋上広告:20年
ビルや商業施設など、大きな建物の屋上に設置される屋上広告の耐用年数は、約20年といわれています。雨風に曝されることも多い分、金属製の頑丈な造りになっているので比較的長い耐用年数を誇ります。
そのほかお店の入り口上部に設置されるパラペット看板も、頑丈な金属製であることが多いので、同じく20年ほどの耐用年数が設けられています。
スタンド看板:3年
スタンド看板はお店の入り口などに置かれている看板で、A型看板・電飾看板・木製看板など多くの種類があります。
サイズや重量も扱いやすいことが多く、キャスターなどで移動しやすい点も特徴です。しかし、いずれも簡易的な造りになっていることが多く、耐用年数はわずか3年ほどといわれています。
デジタルサイネージ:3年~18年
液晶モニターが組み込まれたデジタルサイネージは、駅や商業施設で見かけることが多く、動きのある広告を展開できる最先端の看板といえるでしょう。そんなデジタルサイネージは、設置場所によって大きく耐用年数に差があるといわれています。
スタンド看板のように置くタイプのサイネージは、簡易的な造りから耐用年数は3年ほどとなっています。しかし、壁に埋め込むような形のデジタルサイネージは18年もの耐用年数を誇ります。何かがぶつかる可能性もなく、屋内にあるがために雨風に曝されないのもその理由の1つだといえるでしょう。
まとめ
本記事では看板の法令耐用年数について解説しました。法令耐用年数は、減価償却で計上するために定められた便宜上の年数であり、資産の寿命ではないことを覚えておくとよいでしょう。看板も含め、資産の寿命はその資産の保管環境に大きく左右されます。
法令耐用年数が長かったとしても、雨風に曝されるなど劣悪な環境に置かれれば、その看板の寿命は短くなってしまうでしょう。そして仮に法令耐用年数よりも早く看板が使えなくなってしまっては、ビジネスや資金繰りに影響も出てしまいます。法令耐用年数と資産の寿命は別物だと捉え、賢い看板の活用のしかたを考えるとよいでしょう。